無宿人御子神の丈吉黄昏に閃光が飛んだ

  • 原田芳雄 夏八木勲 安田道代 石橋蓮司 小川節子
  • 120分钟
  • その渡世人は、甲州街道を東から来た。腰に巻きつけた… その渡世人は、甲州街道を東から来た。腰に巻きつけた赤いシゴキも色褪せ、汚れきった道中合羽や振り分け荷物が渡世人の長い道中を物語っている。渡世人は、ある草っ原で非人に襲われている鳥追い女・お八重を救った。そして、無表情に立ち去る渡世人の後をお八重が追った。とある茶屋の前で、一人の浪人が旅の女を抱えている前で、一人の渡世人が、その女を放すことを懇願していた。その浪人が女を放さないと知った時、渡世人の手から、閃光が飛んだかと思う早さで、浪人の肩に出刃包丁が突き刺っていた。浪人を倒した渡世人は、野次馬の中にいた渡世人に声をかけた。「左手の指三本に腰の赤いシゴキ帯おめえさん、御子神の丈吉だろ」「おめえさんは風車の小文治。目印は胸の古傷に庖丁投げ」「実のところ、たっぷり礼金をもらって、丈吉って野郎を殺すように頼まれている」。小文治は、丈吉が女房と子供の仇として狙っている国定忠治が雇った殺し屋だった。小文治は当然の道連れといった感じで丈吉と肩を並べて歩き始めた。その二人の後をお八重が追ってくる。小文治が倒した浪人は、甲州街道沿いに勢力を張る下初雁の唐蔵の用心棒だった。唐蔵一家が小文治を襲った。群がる子分に長脇差を振う小文治は突然、咳込み、吐き出された血が地面に散った。小文治をかばう丈吉の長脇差が豪快に舞った。丈吉とお八重は、高熱に喘ぐ小文治を旅篭「野津屋」へ担ぎ込んだ。「野津屋」の女将お春は茶屋で小文治が助けた女だった。丈吉一行が「野津屋」に草鞋をぬいだことは逸早く唐蔵の耳へ入り、「野津屋」は一家に包囲されたあげく、お春は代貸・佐平にさらわれた。小文治はなぜか丈吉との決着が急いだ。勝負は一瞬で決まった。小文治が投げた出刃庖丁は丈吉の長脇差に当り、地面に落下したのである。だが、小文治は必死に丈吉に命乞いをした。数刻後、小文治は、お春を救うため、単身唐蔵一家へ乗り込んだ。それを知ったお八重は、丈吉の許へ走ったが、唐蔵の子分の長脇差に胸を突かれて倒れた。一方、殴り込んだ小文治は、唐蔵に抱かれて艶然と笑うお春の以外な姿に愕然とした。次々と襲いかかる子分たちを倒して、小文治は激闘の中で喀血し、遂に唐蔵一家の長脇差に倒れた。一足遅れて、乗り込んで来た丈吉は、唐蔵とお春を刺し、小文治の許へ馳けつけた。七年前、水呑み百姓だった小文治は、名主の娘・お春との仲を引き裂かれ、村を追われて渡世人になったものの街道筋で再会したお春に、再び甘い夢を抱いたのだった。丈吉は再び忠治を求めて、草鞋をはいた。

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